2015.05.31 Sunday
当たり前のこと 〜 J1(1st)第14節 川崎F戦@アイスタ 参戦後記
JUGEMテーマ:清水エスパルス
2015/5/30(土) 19:00 KICK OFF
清水エスパルス 5-2 川崎フロンターレ(前半2-1)
【入場者数】
13,055人
【得点】
07分 ピーター ウタカ(清水)
25分 枝村 匠馬(清水)
30分 レナト(川崎F)
64分 石毛 秀樹(清水)
73分 杉本 健勇(川崎F)
80分 石毛 秀樹(清水)
83分 ピーター ウタカ(清水)
【出場選手】《清水のみ》
GK 櫛引 政敏
DF 枝村 匠馬
(→78分 MF 六平 光成)
DF ヤコヴィッチ
DF 福村 貴幸
DF 松原 后
MF 竹内 涼
MF ミッチェル デューク
MF 水谷 拓磨
(→90+3分 FW 金子 翔太)
MF 石毛 秀樹
FW 大前 元紀
(→78分 MF 高木 善朗)
FW ピーター ウタカ
【警告・退場】
69分警告 新井 章太(川崎F)【遅延行為】
【主審】
上田 益也
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試合当日のほんの数日前に、突然に発表された岡崎の来場。
清水サポーターは、大きな拍手とゲットゴールのチャントで迎え入れました。
チームを去る時には大きな問題が生じ、対談の挨拶はこの日まで行われませんでした。
「本当ならチームを去る時に言わなければならなかった」と前置きした彼の言葉は、これまでの長い時間をようやく埋めてくれたような気がします。
清水サポーターにとっても、これで全てがすっきりというわけにはいかないところもありますが、少なくとも、岡崎本人とのリレーションが"公式に"戻ったということは嬉しいことだと思います。
でも、本来なら、もっと前に、さらに言うなら退団時にこういった場があって、岡崎本人も何の気兼ねもなくスタジアムに足を運べるというのが、当たり前のことだと思います。
ようやく、その最低限のところに辿り着いたという感覚です。
試合前のトークショーで注目選手として岡崎が挙げたのが枝村だったのだとか。
その枝村が、岡崎ばりのダイビングヘッドで貴重なゴールを上げました。
3日前の神戸戦では、加賀美が同じようにダイビングヘッドでゴールを決めていました。
これが「岡崎効果」かといえば、どうなのかはわかりません。
ただ、ああいったゴールが生まれるには、選手の意識のもち方が大きく関係してくるわけで、そういった意味では、ここ数日間のチームの雰囲気が表れたといえるのかもしれません。
少なくとも、神戸戦の加賀美のゴールに触発された選手は何人もいたはずです。
相手よりもどれだけゴールを上げるか。
サッカーのルールを表す最も端的な言葉です。
これに沿えば、岡崎を含め、加賀美や枝村のように身を投げるようにボールに向かっていく姿勢は最も大切だといえます。
石毛の2ゴールも見事でした。
2ゴール目の豪快なミドルが注目されていますが、個人的には1ゴール目が好きな形です。
ウタカ、元紀、石毛。
彼らの意思がぴったりと合った上で生まれたゴール。
いつもならふかしがちな石毛が、冷静にゴールのサイドを突く鋭いシュートを放ちました。
ゴール裏2階からは、はっきりとゴールまでの球筋が見えました。
その石毛も、岡崎からは大きな刺激を受けていたようです。
石毛がユースに上がった時期は、岡崎がドイツへ移籍した時期と重なります。
清水から世界へ羽ばたいた岡崎は、石毛にとって、大きな大きな存在だったのだろうと思います。
その後、清水サポーターの大きな期待を背負ってトップ昇格をした石毛。
しかし、ここ最近は苦しい時期が続いていました。
ケガでもないのに遠征から外れ、J3の試合に出場した節もありました。
清水サポーターにとっては、今のこの時期にリオ五輪代表候補に入っているのは当たり前だと思っていたし、場合によってはA代表にも召集され、さらには既に海外へ飛び立っていたかもしれないという、それくらいの期待感がありました。
岡崎の方はどうか。
今の石毛と同じ20歳の頃、プロ3年目までのリーグ戦出場は29試合。
ゴールはわずかに5ゴール。
それも、5ゴール全てが3年目に上げたものでした。
石毛は既にリーグ戦70試合に出場。
ゴール数も、昨日のゴールで6ゴールとなりました。
この試合を視察していたハリルホジッチ監督が、石毛の名前をチェックしたかどうかはわかりませんが、石毛のキャリアはまだまだこれからでしょう。
そして、ここまでに積み重ねてきたキャリアは、きっとここからの飛躍につながるはずです。
神戸戦に続いて最終ラインの中央に入った福村。
初めて務めたポジションについて、神戸戦後に「当たり前のことをやっただけ」と語りました。
この試合でも、ヤコヴィッチと松原に大きなジェスチャーで指示を出し、懸命にラインコントロールをしました。
同じく神戸戦に引き続いて先発した櫛引も、福村のラインコントロールに合わせたポジション取りから、的確な飛び出しを見せました。
勇気ある飛び出しは、前述のダイビングヘッドにイメージが重なります。
12kmを超える走行距離をたたき出した石毛と水谷。
彼らが中2日で試合出場していることを考えれば、頼もしい限りの数字です。
ウタカは既にチームの攻撃の軸として、完全にフィットした印象があります。
2ゴールも素晴らしかったし、それ以外にも球際の強さやドリブルで魅せてくれました。
走行距離は少ない方ですが、守備でもかなり効いていたように思いました。
走る。
寄せる。
止める。
声をかけ合う。
点を決める。
この試合では、これまで当たり前にしたかったことの多くが見られたような気がします。
ローカル番組で「強い清水が帰ってきた」という見出しが使われていました。
正直なところ、本来の「強い清水」にはまだまだというところでしょう。
でも、そのための階段は上り始めていると思いたいです。
かつて、ホームでは負けないことが当たり前という時期がありました。
2008年第18節から2009年第28節まで。
この間に樹立したリーグ戦ホーム連続無敗記録は22試合。
日本平(アウスタ)では、全く負ける気がしませんでした。
この22試合の中で、岡崎は14ゴールを決めています。
彼がゴールを決めることは当たり前のことでした。
彼のような選手が再び現れれば、あの頃のような「強い清水」が本当の意味で帰ってくることになるでしょう。
ただ、当たり前の裏にはたゆみない努力があるということも忘れてはいけません。
当たり前のことは、本当は当たり前ではないということ。
この試合の歓喜を、今後の当たり前にするためには、まだまだ課題があるし、試練もあるだろうと思います。
気を緩めることなく、この良い流れを継続したいものです。
『チームの去り方』(2012/7/3)
『清水サポーターから岡崎慎司へ 最後のチャント 【J特】』(2012/2/22)
『適応できる選手たち 〜 NC第6節 神戸戦@ノエスタ 後記』(2015/5/27)
『ノータイム 〜 J1(1st)第13節 湘南戦@BMWス 後記』(2015/5/23)
『そこに立つ意味 〜 NC第5節 名古屋戦@アイスタ 後記』(2015/5/20)
関連:清水エスパルス、川崎フロンターレ、IAIスタジアム日本平、岡崎慎司
at 22:09, macotobatten, 試合 参戦後記
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