2015.01.31 Saturday
離脱者続出はやむなしか
JUGEMテーマ:清水エスパルス
『お疲れモード!紅白戦できず』(スポーツ報知 2015/1/31)
『ゆっくり走り肉体強化 スタミナ不足克服へ』(静岡新聞SBS 2015/1/30)
『大榎監督大号令!開幕ダッシュへ"エスパ陸上部"発足』(スポーツ報知 2015/1/19)
『清水始動 大榎監督宣言「陸上部になる」』(日刊スポーツ 2015/1/19)
「陸上部」という言葉が話題となっている今季の三保。
メディア向けに大榎監督が"わかりやすくするために"使った表現だとは思いますが、あちこちの練習見学レポートを見ると、やはりその通りによく走っているようです。
静岡新聞の記事の中に出てくる「LSD」はまさに陸上競技のトレーニング方法で、自分もやっていました。
(もっとも、自分の知っているLSDは、もっとペースを落とした上で2時間近く走りますが…)
大榎監督は、年末に公開されたいくつかのインタビューの中で、「練習の最中に選手がバテていた」ということを何度も話していました。
この発言を踏まえれば、今はやりたい練習量をこなすための基礎体力作りをしているといったところでしょうか。
本来であれば、そんな体力はプロ選手が兼ね備えていて当然だと思うわけですが、少なくとも大榎監督にはそれが足りていないと感じられたようです。
ゴトビ監督のトレーニングは、おそらくレイモンド理論からきていると思われます。
『Jリーグが進化するために学ぶべき、世界最高のコンディショニング理論』(Number Web 2012/1/1)
簡単にいうと、「サッカーで必要なフィジカルはサッカーをしながら身に付ける」ということ。
この理論に従えば、砂浜ダッシュも素走りも必要ないことになります。
この理論の成否はわかりませんが、少なくとも清水では成功しなかったし、今は"これまでの"トレーニング方法に戻る選択をとっています。
過去に、拓也をはじめ何人かの選手が、素走りがないことへの不安を口にしていました。
ゴトビ監督は、自主的に走ることにも制限をかけていたようで、自分なりの調整方法ができなかったことが、選手たちのストレスの要因でもあったのだろうと想像できます。
もともとゴトビ監督のサッカーは、相手がボールをキープしている時のプレッシャーは求めるものの、ボールをキープしている状態での運動量はそれほど求めていなかったと認識しています。
ゴトビ監督も大榎監督も、めざすサッカーの根本はそれほど変わらないと思いますが、「人が動くこと」に対する要求は、おそらく大榎監督の方がかなり強いのではと思います。
それが「人もボールも動く」や「モビリティ」という言葉に表れています。
それにともなってトレーニング方法が変わるのは当然だし、求められるものも変わるでしょう。
今季は、古邊フィジカルコーチのもとで、それに耐えうる準備を入念に行っている印象です。
ただただ走る。
これは、サッカー選手にとって、いや、そうでなくてもなかなかにキツイものです。
練習時間はおよそ1.5倍になり、二部練習も積極的に組まれています。
選手たちの体も悲鳴を上げ、30日の練習では、コンディションが理由の別メニューが11人もいたとのこと。
プレーできる選手が22人を割ってしまったために、予定されていた紅白戦も中止に。
ただ、今のところ長期離脱の選手はいないようで、別メニュー組のほとんどが「大事をとって」によるもののようです。
大きな心配はしていません。
全てを科学的な理論で処理すれば、おそらくもっと負荷を減らすべきなのかもしれません。
短期とはいえ、練習計画を変えなければならないほどに離脱者が出るのは、チームとしては順調とはいえないでしょう。
ただ、メンタル的な要素を付け加えながらトレーニングを行う上では、このようなギリギリのライン設定が必要だと考えることもできます。
今季に復活する可能性がある砂浜ダッシュも、その効果の多くは後者でしょう。
吐くまで走るのは、科学的にはアウトのはずです。
それでも、選手たちの中に「やった感」が芽生え、それを根拠とした「強さ」が生まれるのであれば、それは効果の一つとなります。
…ただ、この先の過密スケジュールと今のコンディションで、果たして砂浜ダッシュが可能かどうかはわかりませんが。
長期離脱者を出さないように配慮しながら、ギリギリの負荷をかけながら、シーズンを戦い抜くトレーニングを課しているのだと思います。
これはチャレンジであり、こういったチャレンジは、きっとピッチ上で表現されるサッカーにも影響を与えるでしょう。
「戦うサッカー」が見られると期待したいと思います。
どんなに厳しいトレーニングでも、選手がその意味をくみ取りながらやれている。
そう感じます。
それは、一つの理想の形だと思います。
言い換えれば、昨季前半の大きな問題はそこにあったのだと思います。
どんなに練られた理論とトレーニングがあっても、それを選手と共有することができず、そして結果として示すこともできなかった、と。
今日のオフでコンディションを整え、明日には多くの選手が合流することでしょう。
「ひたすらに走る」という第1ステージを乗り越えた選手たちの戦いは、徐々にポジションを競い合うステージへ。
4日には、今季初の練習試合が組まれています。
そこでは、大榎監督の「初期プラン」が見られるはずです。
この時期の大きな楽しみの一つです。
一つ心配することは、こういった負荷がかかった状態で実戦トレーニングをやった場合の大ケガのリスクなのですが…。
『戦う集団へ 〜 新キャプテン、本田拓也』(2015/1/27)
『2015シーズン日程発表』(2015/1/22)
『三保の風景(1/18) 〜 新風よ、吹け』(2015/1/18)
at 18:15, macotobatten, クラブについて
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