2014.08.30 Saturday
攻守の振れ幅 〜 J1第22節 鳥栖戦@ベアスタ 後記
JUGEMテーマ:清水エスパルス
2014/8/30(土) 19:00 KICK OFF
サガン鳥栖 2-2 清水エスパルス(前半0-0)
【入場者数】
17,234人
【得点】
56分 水沼 宏太(鳥栖)
81分 ノヴァコヴィッチ(清水)
88分 大前 元紀(清水)
90+3分 早坂 良太(鳥栖)
【出場選手】《清水のみ》
GK 櫛引 政敏
DF ヤコヴィッチ
DF 平岡 康裕
DF 三浦 弦太
DF 吉田 豊
(→70分 DF 水谷 拓磨)
MF 本田 拓也
MF 六平 光成
(→77分 MF 金子 翔太)
MF 石毛 秀樹
MF 大前 元紀
FW ノヴァコヴィッチ
FW 高木 俊幸
(→70分 FW 村田 和哉)
【警告・退場】
79分警告 ヤコヴィッチ(清水)
【主審】
村上 伸次
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1時間前にキックオフした埼玉ダービーで、3バックで戦う大宮を見ていた時には、まさか清水が同じようにCBを3枚置くとは思ってもいませんでした。
クローザ―として3枚目のCBを投入することはあっても、健太体制以降、システムとして3バックで戦う清水を見た記憶はありません。
先発メンバーには、U-19代表で主将を務める弦太が加わり、平岡とヤコヴィッチとともに中央を固めました。
途中出場の顔触れも、定石となった村田の他は、高校3年生の水谷、そしてJ3で結果を残している金子。
システムだけではなく、そのメンバーにも、"新しい風"の吹いた試合でした。
試合後の大榎監督のコメントから察すれば、決して"守備的"な選択ではなかったと。
そして、SBが不足する中で、中央をより確実に固めたいと。
つまりは、なかなか守備が安定しない中で、いかに豊田を封じるか、いかにメンバーをやり繰りするかを考えた結果の策であったと考えることができます。
ところが、実際にはやはり、選手たちはかなり引き気味で、前半は完全に最終ラインに5枚、その前に4〜5枚という、2本のラインがしっかりと敷かれ、ブロックを作るような形になっていました。
結果的に、かもしれませんが、"守備"に大きく意識を置いた戦い方であったと思いました。
それが、功を奏したと思います。
新しい試みであったので、慎重になるのは仕方のないこと。
そして、上位の鳥栖を相手にリスクを冒さないのは、戦い方としては理にかなったこと。
結果として、前半は豊田にチャンスを与えることはありませんでしたし、清水の最終ラインを意識してか、鳥栖の方も簡単にロングボールを放り込むことはあまりありませんでした。
攻めあぐねた鳥栖。
守り抜いた清水。
戦い方こそ異なりますが、鹿島戦の前半を思わせるような今日の前半でした。
共通する点は、チームで戦い方が共有されていたこと。
意識における攻守のバランスが、統一されていたように感じました。
だから、ピッチ上にギャップもなかったし、相手に隙を与えることもありませんでした。
弦太の守備も安定していました。
激しく体をぶつけ合うシーンはそれほどありませんでしたが、ミスなくプレー。
チームとして慣れないシステムの中でその一角を担うことは簡単ではなかったと思いますが、及第点だと思います。
今後も試合出場が続けば、CBが3枚だろうが2枚だろうが、そのポジションを獲得できるかもしれません。
"守備"側に大きくシフトが置かれていた前半を戦い抜き、やはりポイントは後半の戦い方。
水沼に先制点を許してから、大きく崩れなかったことが、この試合で勝ち点を得ることができた要因だと思います。
若干のバタバタはありましたが、すぐに持ち直し、交代でピッチに入った選手も躍動しました。
吉田のポジションにそのまま入った水谷。
彼の素早い"寄せ"は、ユース年代ではもはや別格。
そのスペシャルなスキルの片鱗は、今日の試合でも見せてくれました。
ボールロストもありましたが、その分、効果的なボール奪取もありました。
何よりも、その物怖じしないプレー。
守備的に戦ってきた中での先制点を許し、チームに大きなエネルギーが必要な時に、彼のアグレッシブなプレーは大きな意味がありました。
同点ゴールのシーンでは、元紀とのワンツーでチャンスを演出。
4バックに変更し、ポジションを前に移した直後でした。
そして、そのシーンで元紀にボールを送ったのが金子。
彼は、元紀の逆転ゴールのアシストも記録しました。
小柄ながらに相手に負けない体幹の強さ。
そして、彼もまた、年齢を感じさせない積極的で強気なプレーを見せてくれました。
清水がこれまでのシステムに戻し、さらに攻撃的な選手を立て続けに投入したことで、試合の流れは大きく変わりました。
選手交代とシステム変更によって流れを引き寄せ、逆転までもっていったことは、この試合の大きな収穫だといえます。
"攻撃"と"守備"の振れ幅が非常に大きく、試合の中で攻守のシフトが大きく変わる、そんな試合でした。
でも、その変化にチームの全員がついていけていたように思います。
そこが、仙台戦や鹿島戦との大きな違いだと感じました。
鹿島戦のように"自滅"していれば、3連敗という事態に陥っていた可能性が高かったでしょう。
悔やまれるのは、試合終了間際の失点。
最後にフルギアで"攻撃"にシフトを置いてきた鳥栖にやられてしまいました。
清水も"守備"にギアを置いたはずですが、そこは今のチームの力ということなのかもしれません。
そういった、両者の攻守の駆け引きが非常に面白かった試合でした。
勝ち点3を逃したことは、残念でした。
あの時間帯なので、なおさらにそう思います。
でも、この試合で得た勝ち点1には、大きな大きな価値があると思います。
順位が13位から12位に上がったこと以上に。
リーグ戦はブランクとなり、来週は天皇杯。
ノヴァコヴィッチとヤコヴィッチは各国の代表招集。
今日活躍した弦太と金子はU-19代表に招集。
リーグ戦も、次節はキジェとヤコヴィッチが出場停止。
ケガ人も多く、スクランブル状態。
厳しい戦いが続きますし、それはおそらく最終節まで続くのだと思います。
でも、そんな先行きにも光明を見出せる、そんな今日の試合でした。
思えば、昨季も"転機"はこのベアスタでの試合だったわけで。
『勝利の味 〜 J1第5節 鳥栖戦@ベアスタ 参戦後記』(2013/4/7)
浦和相手には、どういった戦い方で挑むのか、今から楽しみです。
『鳥栖の風景(4/6) 〜 Jリーグが誇れるスタジアム』 (2013/4/8)
『鳥栖の風景 〜 J1第22節 鳥栖戦@ベアスタ』(2012/8/21)
『雨を味方につけても 〜 J1第21節 鹿島戦@アイスタ 参戦後記』(2014/8/25)
『杜の都の風景(8/16) 〜 ベガッ太に会いたかった』(2014/8/23)
『自由 〜 天皇杯3回戦@アイスタ 参戦後記』(2014/8/21)
at 23:38, macotobatten, 試合 後記
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