2014.03.30 Sunday
3月の風 〜 J1第5節 F東京戦@アイスタ 参戦後記
JUGEMテーマ:清水エスパルス
2014/3/29(土) 15:00 KICK OFF
清水エスパルス 1-3 FC東京(前半1-1)
【入場者数】
14,420人
【得点】
05分 長沢 駿(清水)
44分 河野 広貴(F東京)
57分 森重 真人(F東京)
82分 米本 拓司(F東京)
【出場選手】《清水のみ》
GK 櫛引 政敏
DF 吉田 豊
(→81分 MF 石毛 秀樹)
DF 平岡 康裕
DF ヨンアピン
DF 河井 陽介
MF 竹内 涼
(→64分 FW 高木 善朗)
MF 六平 光成
MF 大前 元紀
MF 高木 俊幸
(→70分 DF イ キジェ)
FW ノヴァコヴィッチ
FW 長沢 駿
【警告・退場】
48分警告 エドゥー(F東京)《ラフプレー》
50分警告 森重 真人(F東京)《異議》
56分警告 竹内 涼(清水)《反スポーツ的行為》
71分警告 イ キジェ(清水)《反スポーツ的行為》
90+2分警告 渡邉 千真(F東京)《ラフプレー》
【主審】
今村 義朗
==========
大きく煽られるJALの新ビッグフラッグ。
波打つようにはためく選手のユニフォーム。
3月の日本平に吹く風。
寒暖せめぎ合う不安定な大気が、有度山と清水港の間を行き来します。
公式のピッチコンディションでは「弱風」となっていましたが、感覚的にはもっと強い風の中での試合でした。
風は東向き。
その風を追い風にして、前半早々に清水が先制点を上げました。
駿の公式戦3戦連発となるゴール。
埼スタでは喜びを共有できませんでしたが、アイスタの大観衆の中で見事な"リベンジ"。
これまで勝ち星のなかったF東京。
この日も守備のバランスは良くなかったと思います。
3ボランチということで、中央はしっかりと蓋をしてきたように感じましたが、その分、両サイドは清水が占有権をもっていました。
大きく空いたサイドのスペースでは、清水がたびたびフリーでボールを受けていました。
前半のうちに追加点が欲しかった試合でした。
ありきたりの表現ですが、やはりこの言葉しか浮かびません。
前半の清水はチャンスも多く作れていたし、ポゼッションこそF東京が上回っていましたが、やりたいサッカーはできていたと思います。
相手を左右に揺さぶりながら、空いたスペースを逃さずに効果的な攻撃を展開していました。
攻守の切り替えも早く、カウンターから元紀のロングボールが俊幸の足元にドンピシャで渡った時には胸が高鳴りました。
得点の匂いは、確かに清水の方から漂っていました。
この試合の流れを左右したのは、PKのシーン。
これまで大事な場面で必ず決めてきた元紀を責めることはできません。
ただ、結果としてこのシーンが与えた影響は大きなものでした。
問題は、PKを外したことではありません。
やはり、その後の戦い方。
多くのサポーターが、そう思っていると思います。
六平のアンカー、ツインタワーの横並び、善朗やキジェの投入。
形としては面白かったと思います。
やりようによってはもっと効果的にできたと思いますし、その意図も十分に理解できます。
しかし、ピッチ上の選手たちは、その準備ができていなかったように感じました。
放り込むのか、繋ぐのか、そして攻め込まれた時には誰がどう守るのか。
前半のサッカーにあったものが、後半には全く見られませんでした。
練習でやっていなかった形を選手たちに求めても、それは厳しかったのかもしれません。
3失点目のシーンが象徴的で、あれは決して前がかりになったことによる失点ではありません。
清水の選手は6人も守備に回っていました。
それなのに、相手の動きを全く捕まえることができなかった。
完全にバランスと秩序を失っていました。
この試合では、負傷交代や退場処分があったわけではありません。
4人のメンバーを入れ替えてきたとはいえ、フィッカデンティ監督が奇策を用いてきたわけでもありません。
この試合にあった"アクシデント"といえば、前半終了間際に不運な同点弾を許してしまったことと、運よくPKを獲得できたこと。
試合の流れとしては、当然想定内だったはずです。
戦術の問題なのか、体力の問題なのか、それとも選手たちのスキルに問題があったのか。
それは、素人のおいらには判断しかねますが、いずれにしても、監督の意図が十分に消化されないままに試合が終わってしまったという感覚は拭えません。
ピッチ上には風が吹きます。
物理的な風だけではありません。
それは、"流れ"だとか"雰囲気"といった言葉で表現されます。
この試合で吹いた風向きは如何に。
試合開始早々に追い風だった、この日のアイスタの風。
その風を、最後まで味方にできなかった。
その風に甘えてはいなかっただろうか。
先制点を上げた後、このまま何とかなるだろう、と。
選手だけではありません。
サポーターもまた、同様に。
サポーターが試合の行方を大きく変えることはできないと思っています。
あくまでプレーをするのは選手であって、戦術を熟考して選手に指示を出すのは監督。
それでも、ほんのわずかでも選手の後押しができるのだとしたら、果たしてこの日はそれができていただろうか。
"トゲ"のある試合でした。
両チームともに、リーグ戦の戦績には危機感をもっていたはずです。
試合開始から、激しい当たりが続きました。
気持ちが先走るあまり、危険なプレーも散見されました。
さらに、前半のうちに微妙な判定が続き、苛立ちを見せる選手が何人か見られました。
主審にファールをアピールするようなプレーや、わざと相手を挑発するようなプレーがありました。
それに対し、両サポーターも同じ風に乗り、荒い試合になっていきました。
冷静さを失った結果、チームが崩れたのは清水の方でした。
両チームに大きな差があった試合ではなかったと思います。
ポゼッション率、シュート数はほぼ同じ。
チャンスの数はむしろ清水の方が多かったという印象があります。
それでも、1-3という結果に終わりました。
残り30分。
ピッチ上に吹いていた強風が止んでから、清水は単調で光の見えないサッカーしかできませんでした。
再び、自分たちの風を巻き起こすことはできませんでした。
選手の力、監督の力、アイスタの力。
どれか一つだけが足りなかったわけではなかったのだと思います。
勝利の喜びを共に分かち合うファミリーであるならば、敗戦の悔しさや責任もまた同じであるはずです。
サポーターもまた、しっかりとこの敗戦を受け入れなければなりません。
3月に組まれていたリーグ戦5試合を消化しました。
1勝1分3敗は、目標にはほど遠い成績。
順位は16位まで後退しました。
昨季の第5節終了時の下位3クラブは以下のとおり。
16位、湘南。
17位、磐田。
18位、大分。
これは、年間最終順位と同じです。
この現実をしっかりと見なければなりません。
しかし、この時に15位だった川崎Fは最終的には3位に、14位だった新潟は7位にまで、順位を上げたということもまた事実です。
この2チームは、シーズンの半ばで風向きを変えることに成功したチームです。
清水もまた、そういったチームの一つだったと言えるでしょう。
この試合のターニングポイントはPKのシーンだったかもしれません。
しかし、それは今季のターニングポイントではありません。
戦いはまだまだ続きます。
苦難の3月が終わりました。
厳しい向かい風の中での戦いでした。
スケジュールから想定はしていましたが、その厳しさに打ち勝つことはできませんでした。
4月に入ります。
これまでの風向きを変えることができるのか。
おいらは、選手たちにはそれができると信じています。
これまでに何度も感動を与えてくれたチームだから。
信じるにあたって、それ以上の理由なんて要りません。
シーズンのターニングポイントは、自分たちで掴むもの。
これまでに、そうやって苦難を乗り越えてきたことを、思い出そう。
『アイスタの力 〜 J1第5節 F東京戦@アイスタ 展望』(2014/3/28)
『虚しさと誇りと 〜 J1第4節 浦和戦@埼玉 後記』(2014/3/23)
『無観客試合を前に思うこと』(2014/3/22)
at 23:33, macotobatten, 試合 参戦後記
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