2013.10.28 Monday
ダービーズ・ハイ
JUGEMテーマ:清水エスパルス
今月に入り、ダービーに関する記事は6件目です。
このブログを始めてから、カップ戦やPSM、慈善試合を含めて10試合のダービーがありました。
今回のように、立て続けに記事を書いたのは初めてです。
自分にとっても、今回のダービーが特別なものであったということなのだと思います。
さて、残念なニュースがスポーツ紙やネット上で飛び交っています。
試合後の"煽り"について、それが過剰なものであり、誹謗中傷にあたると。
そして、今日のお昼には、クラブから謝罪文も出されました。
『10/27ジュビロ磐田戦における一部サポーター行為に対するお詫び』(清水エスパルス公式サイト)
試合前には、暴動が起こるのではないかという危惧もしていました。
ダービーにはそれほどの歴史があるし、今回のダービーは状況も特別なものでした。
タダで終わることはないだろうと思っていました。
現地にはいなかったので確証はありませんが、暴動と呼ぶまでのことはなかったとのこと。
しかし、清水ゴール裏に掲出された数々のゲーフラや横断幕が、磐田サポーターや世間には大きな刺激を与えてしまったようです。
賛否両論があります。
「ダービーとはこういうものだ」
「磐田もこれまで同じことをやってきたじゃないか」
「他所から言われることではない」
「これはひどい」
「品がない」
「J2を馬鹿にしている」
これらを言い合ったところで、各々のダービーに対する捉え方が全く違うので、おそらくそれは不毛な言い合いになるのでしょう。
昨日の記事でも触れたように、ダービーに対する想いは様々。
「ダービーとは何なのか」という問いに対する答えなど、ないのかもしれません。
ただ、はっきりしていることがあります。
それは、昨日のヤマスタにおいて、清水側の言動ばかりがクローズアップされているということ。
不公平感を言いたいのではありません。
これまでのダービーとの違いがそこにはあったということ。
良い悪いは別として、これまで互いに様々な形で相手を挑発してきた両クラブ。
正確には、両クラブサポーターの一部。
そうやって、"煽り合って"、ヒートアップを繰り返してきました。
2年前の"核兵器断幕"。
あの時、Jリーグから処分を受けたのは清水側。
断幕に怒りを覚えた一部の清水サポーターが磐田側に押し寄せたことで、問題が大きくなりました。
人種差別断幕も、それに対する報復も、認められるべきではないもの。
どちらか一方を容認することはできないし、こうやって過激であることが"ダービーの本来の姿"であるという考えは間違っています。
しかし、これまでに両クラブは、互いにこうやってダービーの価値を見出してきたのかもしれません。
もちろん、それが"一部の"サポーターにとって、ということを理解した上でのことですが。
つまりは、相手があったからこそのダービーだったわけです。
あの事件以来、磐田側のアクションもリアクションも、ほとんどなくなりました。
同じ年の9月に行われたエコパでのダービーでは、磐田側の断幕はほんの数枚。
自粛なのか、懲りたのか、それとも、ただ単にそういったエネルギーがなくなったのか、実際のところはわかりません。
しかし、それまでは今回の清水とは何の違いもない下品なメッセージを掲出してきた磐田が、ここ2年間ですっかりおとなしくなってしまった印象です。
なぜ、今回のような"一方的な"事態になったのか。
それは、ただ単に磐田が降格危機だから、ということではないと思います。
これまでの彼らであれば、そんなことに構わず、今回の清水に負けず劣らずの"何らか"をやってきたでしょう。
そうでなければ、あんな"核兵器断幕"を許すわけがありません。
つまりは、昨日のヤマスタには、「既にダービーの相手はいなかった」ということです。
昨日のダービーは、試合内容は別にして、サポーター同士の戦いとしては、清水のエネルギーが圧倒的なものでした。
断幕がどうこうは抜きにして、サポーター一人一人の声量、表情、そして演出。
素晴らしいものでした。
TVを通してもその一体感が伝わってきたし、当日に至る一週間の中でも、そういったものは感じました。
『こんなのはダービーじゃない』(2013/10/23)
この記事で書いたように、試合前の盛り上がりとしては、磐田側のそれに大きな寂しさを感じていました。
もはや、ダービーではなかった。
そう考えれば、昨日のアレコレが批判されても仕方ありません。
そこに、「ダービーだから」という理由も、「今まであいつらもやってきたから」という理由も通じません。
既に、相手がそこにいないのだから。
ああいった下品なものを容認する理由が「ダービーだから」であるならば、ダービーとして相手が捉えていなかった時点で、アウトです。
そもそもが、世間的にはアウトの言動。
やり過ぎであったと思います。
それでも、これまでは互いの「ダービー意識」が、それを許してきたのだと思います。
世間的にはアウトでも、「俺らの中ではこれがダービー」という意識が。
それが通じない今、やはりダービーは終焉したのだと思います。
寂しい部分はありますが、あんな断幕とは一切関係ないであろう多くの磐田サポーターが心傷つける姿を見ていると、そんな理由は通じないのだという想いに駆られます。
"煽り合い"によるダービーの歴史など、サポーターの大半にとっては、ほんの一部のサポーターたちの都合。
それが暴走した結果が、昨日の姿なのだと思います。
それは、反省し、改めなければなりません。
まあ、来季はその心配はないのかもしれませんが…。
ダービーという魔物に取り憑かれ、熱狂してきた両サポーター。
結局は、それは「ダービーズ・ハイ」とも言うべきものだったのだと思います。
きっと、先週のおいらもその渦中にいたのでしょう。
ずっと興奮が収まりませんでした。
「ダービーズ・ハイ」。
その快楽に、全ての感覚を狂わされていく。
勝てば天国、負ければ地獄。
その快感に身を支配され、時には耐えがたい屈辱を味わい、時には至福の瞬間を手に入れました。
「ダービーズ・ハイ」から醒めたとき、そこに残るものは何なのか。
そこに相手はいなかった。
でも、来季もJ1で戦う誇らしき清水戦士たちがいることに、最高の喜びを幸せを感じればいいのだと思います。
今回の件で、一番残念であったことは、清水ゴール裏が批判されたことではありません。
この件によって、試合の中身がほとんど語られなくなってしまったということです。
"最後のダービ"にふさわしい、素晴らしい試合でした。
両チームの選手たちをリスペクトできるものでした。
目の前にあるサッカーに、真摯に向かうことができていたのは、サポーターではなく、ピッチで戦った選手たちであったと思います。
そう考えると、反省すべき点は多いと思います。
サポーター同士の"煽り"も、ダービーを盛り上げる要因の一つかもしれません。
でも、やはり公式サイトで書かれたように、「横断幕や応援コールは応援するチームを鼓舞し、後押しするもの」です。
足りないところはあったはずです。
でも、同時においらは、選手に「サポーターは僕ら以上の気合で臨んでいる試合」と言ってもらえる清水サポーターを誇りに思っています。
リーグ戦はあと4試合。
全てに参戦はできませんが、全力でサポートしていきます。
選手と共に、2014年元日まで戦い抜くつもりです。
『"歓喜"とその裏返し 〜 J1第30節 磐田戦@ヤマハ 後記』(2013/10/27)
『サヨナラ、ダービー 〜 J1第30節 磐田戦@ヤマハ 展望』(2013/10/25)
『こんなのはダービーじゃない』(2013/10/23)
at 23:10, macotobatten, クラブについて
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