JUGEMテーマ:清水エスパルス
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Yahoo!のトップページでも記事が上がり、昨日のアウスタでの出来事が試合内容以上に多くの人の目や耳に届けられてしまいました。
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試合前に磐田の10代サポーター2人が、清水のゴトビ監督を誹謗(ひぼう)中傷するような横断幕を掲げ、退席処分を受けた。処分を受けたのはともに男性で、イラン系米国人のゴトビ監督に向け、「ゴトビへ 核兵器作るのやめろ」と書いてあった。
磐田側の聴取に2人は「特に意図はなかった」と釈明したという。松浦敏夫マッチコミッショナーは横断幕を確認し、Jリーグは磐田を処分するか検討する。 また、複数の清水サポーターが磐田応援席に入り込み、試合開始直前まで30分間以上、小競り合いが続いた。試合後、両クラブ社長が会見した。磐田の吉野博行社長は「迷惑を掛けたことをおわびしたい。二度と同じことがないようにしたい」と陳謝し、運営側の清水の竹内康人社長も「4月のチャリティーマッチで両チームサポーターに連帯感が出ていたのに残念。警備体制を見直さないといけない」と話した。磐田は後日、2人に対する処分を決める。
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スカパーで観戦していた際、試合前練習の時間帯にやけにブーイングが続くと思って気にはなっていたのですが、中継を見ているだけでは何が起こっていたのかは全くわからず、試合後の"ゴトビコール"も、なぜこのタイミングであんなに長い間コールが続けられたのかもわかりませんでした。
試合後にいろいろな情報が入り、非常に残念な気分になりました。
そして、横断幕を掲出したのが10代のサポーターだと知り、さらに悲しくなりました。
清水エスパルスとジュビロ磐田の歴史のほんの一部しか知らないであろう10代の少年が、なぜあんな横断幕を作らなくてはならなかったのか、なぜ作ろうとしたのか。
今回の件を許しがたいと考えているおいらたち"一般サポ"が、この件にどう向き合えばいいのか。
そんなことを考えさせられる事件でした。
今回、実際に横断幕を作り、掲出した2人に対しては重い処分が科せられるでしょうし、磐田に対しても罰金もしくは勝ち点はく奪が言い渡されるでしょう。
乱暴な形で抗議にいった清水サポ、そういう事態を未然に防ぐことができなかった運営者である清水に対しても、それなりのものが科される可能性があります。
「特に意図はなかった」と語る2人を"許せない""考えられない"と捉える方は非常に多いと思いますし、その通りだとも思います。
ただ、なぜそうなってしまったのかということ、そして、今後どうしていけば互いのチームにとってよりよい道となるのかということを考えなくては、今回の件が両チームの"要らぬ"溝を深めるばかりになってしまうのではないかと案じています。
おいらは現地にいませんでしたので、現地での雰囲気を直接体感してはいません。
だからこそこんなことが言えるのかもしれませんが、"糞"だとか"死ね"だとか"J2行け"だとかといった低次な言葉をやたらに交わし合っていても、静岡の品位が下がる一方だと思っています。
ジュビロ磐田に対しては、嫌な思い出ばかりですし、ジュビロコールを口にしたのは先日のチャリティーマッチの1日きりですし、数年前の入れ替え戦の際にはベガルタ仙台を応援していましたし、何が何でも負けたくない相手だと考えています。
でも、その存在を否定するつもりはありませんし、おいらにも顔見知りのジュビロサポさんがいるわけで、同じサッカーを愛する仲間として捉えています。
ジュビロ磐田があったからこそ、今の清水エスパルスがあると考えていますし、あちら側からもそうであってほしいという願望はあります。
一部のサポーターによってこれまでいろんなイサコザが引き起こされ、気持ちの晴れない試合は幾度もありましたが、いざというときにはチャリティーマッチのように互いに手を取り合って一つの方向に向き合える間柄であると信じてきました。
そして、今でもそうなのだということは、多くの磐田サポさんのブログ記事やコメントから感じることができます。
今回の静岡ダービーの入場者数は12,768人。
おいらの記憶が正しければ、リーグ戦39試合の中で最も少ない数なんじゃないかと思います。
三羽ガラスや澤登氏、ゴン中山やスキラッチが活躍していたダービー黎明期。
オレンジとサックスブルーの戦いはまさに"特別な戦い"でした。
マスコミやクラブ広報があれこれ手法を凝らして煽らずとも、選手、監督、サポーターたちはこの"特別な戦い"にアツくなりました。
まだ、現在ほどに地域によってはっきりと応援するクラブが分かれてはおらず、磐田が全盛期の頃には全国区のサポーターを抱え、静岡市内にも数多くの磐田サポがいました。
同じ生活圏内に応援するクラブの異なるサッカー好き同士が互いにアツい想いを語らいながらサッカーを楽しんできました。
今、静岡市内に見る磐田サポはほんのわずかで、同じ県内とはいえ完全に"お隣"となってしまった印象です。
ローカル番組では並列の形で取り上げられていますが、互いの"関係"については、正直希薄になってきたと言わざるを得ません。
清水エスパルス創設時の引き抜き、オリジナル10をめぐるアレコレ、各高校サッカー強豪校との関係など、過去に静岡ダービーの語りのタネとなってきた様々な因縁も、何となくぼやけてきました。
今回の10代の2人が、これらの因縁を元にあのような横断幕を作ったとは考えられません。
なぜ、清水と磐田が特別な関係なのか。
それをあいまいにしたままに、ただただ"ダービーは負けられない"と煽ってきたものは何なのか。
マスコミなのか。
クラブ側なのか。
サポーター同士なのか。
物事の出発点を見失った"ケンカ"は、大抵は大筋を逸れて悲しい結末を迎えます。
今回の事件も、そんな結末の一つと言えるような気がします。
清水サポーターも、磐田サポーターも、ダービーの価値を見失ってはいけないと思います。
おいらたちが立っている場所は、あくまでもサッカーという舞台の上。
その上で、互いをライバル視したり、鼓舞したり、ブーイングしたりするのは大歓迎だけど、サッカーという舞台の上で相手を中傷したり暴力したりするのはご法度。
サッカーということを抜きにして相手を憎んだり恨んだりからかったりするのであれば、それは舞台を降りてやってもらいたいです(ただし人に迷惑をかけずに、合法の範囲で)。
昨日の横断幕を生みだした要因は、横断幕を掲出した2人だけでなく、過去に積み上げられたいろいろなあいまいな関係なのだと思います。
「特に意図はなかった」という言葉が本当であればなおさらのこと。
2人を許すつもりはありませんが、彼らもまた訳も分からないうちに要らぬ煽りに巻き込まれてしまったといったところでしょうか。
形は違えど、過去には一部の清水サポも似たようなことを磐田に対してやっていますし、相手が降格危機に陥っていたときには下品なアクションも起こしています。
その"真似ごと"で彼らが今回の横断幕を作ったとしたら、その伏線は過去に既にあったといえます。
"毎回もめ事が起こる"="アツい戦い"、ではないし、だからと言って仲良しお隣同士でJリーグが盛り上がるわけでもありません。
ジュビロ磐田とは、互いに刺激を与え合い、(決して表には出しませんが)互いを尊重し合える関係でいたいと心から願います。
今回の件で、一番心を傷つけられたのは、ジュビロ磐田サポーターの方々でしょう。
もし、清水サポが同じようなことをやったら、恥ずかしくてオレンジのユニを着て駐車場まで歩けなかったかもしれません。
全国レベルで報道されてしまいましたので、純粋にサッカーを楽しみたいサポーターの方々にまでも冷たい視線が向けられてしまうことが心配されます。
今、おいらたち清水サポにできることは、清水サポーターも磐田サポーターも、そのほとんどは純粋にサッカーを楽しみたいと考えているということをより多くの方に知ってもらうことなのかなと思います。
今回の件で磐田サポーター全体を批難することが、清水エスパルスにとって、静岡のサッカー界にとって、Jリーグ全体にとってプラスとなるとはとても思えません。
現在、"ダービー"といえば、震災でより結束を見せた"みちのくダービー"、J2でもアツい戦いを見せた"東京ダービー"、アジアを舞台に戦った"大阪ダービー"といったところでしょうか。
静岡ダービーの価値と品位とその存在自体が、今回の件で試されているような気がします。
クラブが今回のダービーを広報するにあたって使った言葉は"The DERBY"。
敢えて"静岡"の二文字を入れなかったのには、ちゃんと意味があるのでしょう。
日本を代表するダービーたるためには、まだまだ歴史も意識も浅いのかもしれません。
次の"The DERBY"は、9月10日のJ1第26節(@エコパ)。
どんな戦いになるのか、ピッチ上でもそれ以外でも注目されることでしょう。
今年4月のあの試合が、幻想でなかったことを信じています。
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ナビスコ杯第1節 甲府戦@中銀スタ 6/5(日)15:00 KICK OFF
関連:清水エスパルス、ジュビロ磐田、静岡ダービー、横断幕