JUGEMテーマ:清水エスパルス
大宮アルディージャ 2-2 清水エスパルス(前半0-0)
【得点】
56分 オウンゴール(大宮)
65分 青木 拓矢(大宮)
74分 石毛 秀樹(清水)
84分 内田 健太(清水)
【出場選手】《清水のみ》
GK 林 彰洋
DF 高木 純平
DF 平岡 康裕
DF ヨンアピン
DF 吉田 豊
(→70分 MF 内田 健太)
MF 村松 大輔
(→70分 FW 瀬沼 優司)
MF 杉山 浩太
MF イ ミンス
FW 石毛 秀樹
FW バレー
FW 高木 俊幸
(→90+1分 FW 伊藤 翔)
【警告】
11分 バレー(清水)警告1
86分 ヨンアピン(清水)警告1
90+5分 杉山 浩太(清水)警告1
【主審】
高山 啓義
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現地は強烈な風、そして西日が照りつけていました。
前半の清水は風下に陣をとり、西日に向かってゴールを守る形となりました。
ゴール裏で応援していても、日没までは日差しを手で遮らなければ向こうの様子がわからないほどに眩しさを感じていました。
強風の影響も大きく、開始早々の林のキックは風に煽られて大きくコースを変えていました。
今季の清水のスタンスが、アウェーではしっかりと守ってカウンターを狙うというものであるならば、前半の戦いには及第点が与えられると思います。
難しいピッチコンディションに、リーグ開幕戦ということも加味すれば、前半を0-0で折り返したことは、決して悪いことではなかったと捉えることができます。
大宮はしきりに縦パスを狙い、ズラタンとノヴァコヴィッチの2人にボールを送ろうとしました。
それについてはしっかりと対応ができていたと思います。
自身のミスからピンチを招いたシーンはありましたが、それ以外に流れの中からのピンチはなかったように思います。
危なかったシーンとしては、金澤の浮きパスに渡邊が反応したシーン、CKから菊地が合わせて純平がかろうじてクリアしたシーン。
危険であったことに変わりはないし、セットプレー時の守備の不安は相変わらずですが、どちらも、守備陣が崩されたわけではなく、大きな問題はなかったと思います。
しかし、それよりも攻撃陣には物足りなさを感じました。
前半のシュート数はわずかに1本。
その1本は石毛の決定的なダイビングヘッドだったわけですが、それでも非常に寂しい数字でした。
オレンジ親父さんの不安が的中したわけではないと思いますが、前半の清水はパスミスを連発。
誰もいないところに出されたパスや途中で相手にカットされてしまったパスが多かったように思います。
また、個人名は挙げませんが、3ボランチの1人が、前線に受ける準備ができていてもそこへのパスが遅れたり、パスを出したきりでその後のフォローに行かなかったりと、攻撃へのブレーキとなってしまっていました。
中盤が死んでしまったことで、攻撃に厚みが生まれず、単調になってしまった印象があります。
40分過ぎには畳み掛けるような攻撃の形が生まれましたが、それくらいでしょうか。
攻撃には課題があったものの、前半の試合展開としては想定内であったとするならば、後半の頭から積極的にバランスを崩しにかかったことにも合点がいきます。
後半開始早々には、平岡が前線まで上がる場面がありました。
俊幸も積極的に逆サイドへ流れる動きを見せました。
風上に立ち、西日を背にした中で、攻撃へのスイッチを入れたのかもしれません。
残念ながら、それは成果を得ず、2失点を喫することになります。
左右に揺さぶられた後のマークのズレ。
クロスに対する緩慢な対応。
リスタートへの対応の遅れ。
ぽっかりと空けてしまったゴール前。
これらが重なり、本来であれば致命傷ともいえる2つのゴールを許してしまいました。
この2失点から立ち直ったのは、PSM新潟戦での経験が大きかったでしょう。
選手たちは下を向いていなかったし、動揺も見られませんでした。
その姿勢が、最終的に2-2のドローに持ち込んだのだと思います。
2失点目以降、瀬沼と内田を投入し4-4-2の布陣にしてから、清水の攻撃パターンは明らかに変わりました。
中盤を省略したロングボール主体の攻撃。
最後列からバレーにボールを当て、バレーがすらす。
それを瀬沼と石毛、ミンス、俊幸が拾う。
ひたすらにその形。
石毛のゴールは、まさにその形であり、その他にも同じような形でチャンスを生み出したシーンが幾度もありました。
さて、この2トップでロングボールを放り込むサッカーが功を奏して勝ち点1を獲得したわけですが、それをどう捉えるかが重要だと思います。
始めから4-4-2でやるべき。
3ボランチはやめた方がいい。
とにかくバレーに放り込めばいい。
いろいろな捉え方があると思います。
しかし、この試合の後半の戦い方がハマったのは、清水の"方針転換"に大宮がパニックを起こしていたこと、そして、それもあってかラインをズルズルと下げていったことが大きく影響していることを無視してはならないと思います。
大宮が中盤に大きなスペースを作ってくれたことで、ロングボールを放り込んでも、そのこぼれ球が清水の方に転がっていきました。
大宮が後手後手に走ることになり、清水は面白いようにボールを回せるようになりました。
同点に追いついてからも決定的なシーンは2回ほどあり、本来ならば勝ち越して終わるべき試合であったともいえます。
特に瀬沼の目の前にボールが転がってきたシーンでは、軽く押し込むだけで決まっていた可能性があり、あのシーンでの空振りは悔やまれます。
今回のようなパワープレーは、やはり試合終盤のオープンな展開になったときこそ効果を発揮するもので、あのサッカーで90分間を戦おうとすれば、試合の主導権を相手に献上することになるでしょう。
短期的に結果は出るかもしれませんが、シーズンを通して戦える戦術ではないと思います。
個人的には、今後も3ボランチの戦いを軸にしながら、今回のような柔軟性を戦いの中に取り入れていくというのが、タイトルへの一番の近道だと思います。
近道と言いながらも、おそらくは3ボランチの習熟にはもう少しかかると思われます。
新潟戦、大宮戦と見てきましたが、守備についてはいいにしても、やはり攻撃に関してはかなりの完成度がなければ機能しないだろうと感じました。
3人のボランチの守備時における飛び出しは、1人でボールを奪うことが本来の目的ではないと考えます。
おそらく、3人ないし2人で挟み込み、相手を追い込むことに意味があるはずです。
1人が飛び出せば、相手は当然パスでかわそうとするわけで、そこで連動したプレッシャーをかけなければ、ボールは奪えません。
逆に、飛び出したことで生まれたスペースを相手に使われることにもなりかねません。
非常に高度な連係が求められます。
それが、攻撃ともなればそれ以上のものが求められます。
3人がその時の状況に応じて動くということは、その分味方同士で互いの動きが把握しにくいということになります。
パスミスが多かったのは、こういったことによるところが大きいのではないかと思われます。
互いのフィーリングをリンクさせる必要があるし、そのための準備がキャンプからの1か月間だけではとても足りないでしょう。
ゴトビ監督のこれまでのやり方から察すれば、今回の結果を受けても、戦い方を大きく変えることはないでしょう。
これまでの基本路線を維持しながら、その成熟度を高めていくことになるでしょう。
他クラブを見渡しても、現時点で戦い方が完成されているチームなどありません。
例え完成に近かったとしても、それは常に相手があることなので、変化していくものです。
3ボランチは、非常に難しいシステムだと思いますが、その成熟に成功すれば、相手にその対策を許さない強力な戦術となるのではと思っています。
そんな無限の可能性を秘めたシステムです。
昨季までの戦いに満足感を得ていないのであれば、この新しいチャレンジに期待してもよいのではないかと思います。
ただ、繰り返しになりますが、実に難しいシステム。
妥協し、放り込みサッカーにした方が目の前の勝ち点は拾えるのかもしれません。
昨季の形に戻した方がいいのかもしれません。
または、オーソドックスな4-4-2でスタートしてもいいのかもしれません。
あとは、どれを選ぶかでしょう。
でも、大事なことは複数の戦い方を使い分けること。
この試合で、パワープレーに手応えを得たことは、実に大きなことだと思います。
今までは、こういった展開でことごとく失敗してきましたから。
バレーと瀬沼という2つのタワー、そして石毛の存在が実に大きかったと思いました。
34試合のうちの1試合。
でも、34試合をぶっ続けで戦うわけではありません。
戦いから学び、次に生かすこと。
約9か月という長い時間の中で、どう成長するかということ。
この戦いで得た手応えを、良い方向に生かさなければ、自らの戦い方を見失うことにもなりかねません。
この試合でのドローという結果を受けて、ホーム開幕戦でどのような戦い方を見せるのか。
注目したいと思います。
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