2012.10.01 Monday
33歳、男はこれから 〜ありがとう、小野伸二
JUGEMテーマ:清水エスパルス
「清商にすげーやつがいる」
高校3年の夏。
TVには、彼の姿がありました。
巻き髪の彼は、清商の青いユニフォームを身にまとい、実に楽しそうにプレーしていました。
同じ年、世界から見ればまだ駆け出しだった日本は、フランスW杯への切符を掴みました。
そして翌年、その初めての世界の舞台に、彼は立っていました。
18歳。
高校を卒業したばかりの彼は、ジャマイカの選手を相手に、華麗にトリッキーなプレーを見せてくれました。
あの当時の、彼に対する期待感は、中田英寿よりも、中村俊輔よりも、香川真司よりも、遥かに高いものでした。
彼が、日本のサッカーを変えてくれる。
世界に誇れるサッカー選手となってくれる。
そう信じて疑いませんでした。
でも、そんな彼がプロとしての所属先に選んだのは浦和レッズでした。
清水の経営難が重なったことが理由だと言われていますが、当時高校生だったおいらには、そんなことはどうでもいいことでした。
ただ、彼が清水の選手でなかったことに、大きなショックを受けました。
そして、オランダへと渡って行った彼は、今後も清水の選手になることはないだろうと思っていました。
だから、スポパラで突然彼の清水加入が報道されたことには大きな衝撃を受けました。
喜びではありませんでした。
信じることができませんでした。
そんなことがあるわけがないと思っていたからです。
その報道が事実であったと知ったときの興奮は、今でも忘れられません。
まるで、夢のようでした。
あのまま、夢のような時間が過ぎて、健太監督のもとでタイトルを獲得することができていれば…。
あのシュートが決まっていれば…。
あのFKを防いでいれば…。
…涙が出てきます。
きっと、今とは全く違った世界が広がっていたでしょう。
でも、おいらは、今の清水の姿を誇らしく思っています。
悔しさはありますが、間違っているとは思っていません。
あのとき、彼がこのチームに来てくれたからこそ、今があるのです。
彼と一緒にプレーしたいと言って、一体どれだけの選手が清水にやってきてくれたでしょうか。
彼のプレーが見たいと、一体どれだけの人がスタジアムに足を運んだでしょうか。
彼のプレーに、一体どれだけのサポーターが沸き、感動し、またスタジアムへ行きたいと言ったでしょうか。
彼がいなければ、今の清水エスパルスは絶対にあり得ません。
いつもチームの顔であり続けてくれました。
クラブのメディアへの露出度は、間違いなく増えました。
復興支援にも、積極的にかかわりました。
彼の貢献度は、図り知れません。
それは、形式的な言葉では表現できません。
今の清水エスパルスの全てです。
このタイミングでの移籍は、サポーターにとっては残念なものです。
結局、サポーターが彼と直接別れの挨拶を交わすことはありませんでした。
でも、おそらく一番辛いのは、彼自身だと思います。
難しい選択を迫られました。
彼の清水加入時のコメントは、この清水エスパルスというチームで引退する覚悟で来たという意味が込められていると認識しています。
ここで、もう一花咲かせると。
プレーヤーとしては、不完全燃焼だったでしょう。
特に、今シーズンにおいては、コンディションが万全であっても試合に出場できない時期が続きました。
そんな中で、必要としてくれるクラブがあれば、移籍は当然選択肢に入るでしょう。
彼をベンチにも入れなかったゴトビ監督の判断の是非は別にして、今回の移籍は、両クラブと彼自身にとって、前向きに捉えることができるものであったと思います。
移籍金は発生しない模様で、そこは残念ではありますが、金銭的なことよりも、これまでに彼がこのクラブに貢献してくれたこと、そして今後の彼のサッカー人生を優先に考えれば、致し方ないことだと思います。
彼自身が口にしていましたが、オーストラリアに渡っても出場が保障されているわけではありません。
まさに、"挑戦"であると思います。
それでも、このチャンスをものにして、ぜひとも新設クラブの英雄となってもらいたいものです。
キャラは違うのかもしれませんが、鹿島のジーコのような、磐田のドゥンガのような、そんな存在になってほしいと願います。
そして、いつか清水エスパルスに帰って来てほしいと思います。
どんな形でも。
ありがとう、小野伸二。
静岡の誇り。
日本の誇り。
そして、清水エスパルスの誇り。
あなたが礎を築いた若き清水エスパルスは、きっとアジアNo.1のクラブになるでしょう。
いつか、アジアを舞台に、エディーや、アレックスとともに戦いたいものです。
それは、決して遠い日ではないと信じています。
最後に。
これまで"18番"を背負ってアウスタに足を運んでいたサポーターの皆さん。
小野伸二が移籍しても、そのユニを脱ぐことはありません。
これからも、スタジアムに足を運び、ともに清水エスパルスを応援しましょう。
それが、彼の願いであると信じています。
33歳、男はこれから。
熱きハートを胸に、いつまでも。
『オレンジ戦士としての小野伸二』(2012/7/20)
『真司、慎司、伸二、真二』(2012/6/5)
『小野伸二の復帰を待つ』(2012/5/30)
『脱・小野伸二へ』(2012/2/29)
『小野伸二のケガと渡米』(2012/2/3)
『小野伸二&高原直泰、残留へ前進』(2012/1/8)
『共に戦おう〜小野と岩下』(2011/12/10)
『小野とフレディの共演』(2011/10/1)
『山田町と清水エスパルス』(2011/7/19)
『小野伸二に救いの手を』(2011/4/26)
『枝村と小野と真希と』(2011/4/10)
『今の清水の大黒柱はこの3人』(2010/11/15)
『"きっかけ"を次に生かせるか 〜 J1第27節 仙台戦@アウスタ 参戦後記』(2012/9/30)
『J1第27節 仙台戦@アウスタ 帰路』(2012/9/29)
at 23:44, macotobatten, 選手について
comments(1), trackbacks(0), - -