神業と誤審
JUGEMテーマ:清水エスパルス
『完敗清水、“幻のFK弾”に遺憾の声「相手サポーターも絶対に入ったと…」』(ゲキサカ 2019/05/03)
『敵サポーターも認める大誤審!? 清水・中村慶太の幻のFK弾に「ごめん、入ってる by鹿島サポ」』(サッカーダイジェスト 2019/05/03)
『清水指揮官、疑惑の判定に批判なく冷静な対応「入っていたように思うが…」「好機を決め切れなかったのも事実」』(サッカーダイジェスト 2019/05/03)
鹿島戦での中村のフリーキックを巡る判定については、前回の記事で触れました。
『幻と現実 〜 J1第10節 鹿島戦@カシマ 参戦後記』(エスパルスキー 2019/05/05)
ここに書いたように、今の清水にとって重要なのは、この判定以外の部分で自分たちのサッカーを振り返ることです。
「あのゴールが入っていれば」と考えた時点で、冷静な分析は困難になります。
ただ、判定について沈黙すればいいかというと、そういうことでもないと思っています。
以前にツイッターで投稿したような気がしますが、自分はサッカーのレフェリーの方々がやっていることは「神業」レベルだと思っています。
ピッチでプレーしている選手たちが特別な存在なのは言うまでもありませんが、そのプレーをジャッジする難しさは並みのものではありません。
縦約100m、横約70mのピッチ上で、22人の選手と1個のボールが動き回ります。
予測できる動きもありますが、そうでない動きの方が多いでしょう。
ボールの動だけでなく、選手同士の接触にも目を配らなければなりません。
ボールのないところで問題が発生することもあります。
スムーズに試合が進むよう、22人の選手とは常にコミュニケーションを意識する必要があります。
一方で、レフェリーの目を欺く行為も考えられることから、時には厳しく、毅然とした態度も求められます。
そして、90分間、選手たちと同様に走り続けます。
ピッチを囲むスタンドにいるのは、それぞれのチームのサポーター。
サポーターは、ホームであってもアウェーであっても、レフェリーに比べれば「多数派」。
ジャッジに問題があれば容赦ないブーイングや罵声が飛びます。
時には、ジャッジが正確であっても同じことが起こります。
サポーターは、自分たちが「守れていること」をいいことに、高いところから自由勝手な言動をとります。
だから、そんな中で笛を吹くレフェリーを尊敬しています。
もちろん、ジャッジに不満を抱くことは当然あるし、スタンドから声を上げることもあります。
でも、リスペクトの気持ちはしっかり持っているつもりです。
ここ3試合、清水の公式戦で試合結果や展開に影響したであろうジャッジが続きました。
ルヴァンカップ松本戦ではオフサイドに絡む判定。
後半28分、2-2の状況で清水のコーナーキックに立田が頭で競り勝つと、そのボールが相手ディフェンダーの背中に当たり、航也のところへ。
航也が合わせてゴールネットを揺らしましたが、副審がフラッグを上げ、オフサイドノーゴールとなりました。
航也よりもゴールラインに近い位置に松本の選手がおり、選手たちはその場で抗議。
主審の家本さんは、副審に確認に行きましたが、副審の判断を踏まえてオフサイドとしました。
結局試合は2-2のままドローで終了しました。
試合後、審判団は誤審を認めたとのことです。
J1第9節の浦和戦ではPKに関する判定。
前半22分、0-0の状況で六平がペナルティエリアにドリブルで侵入。
相手ディフェンダーが止めに行ったところで六平が倒れるも、ファールはなし。
解説では「足がかかっているのでは」とされましたし、映像からもそのように見えました。
ただ、この類の判定はここで挙げる他の2つに比べればよくあるもので、誤審と言い切ることは難しいと思っています。
3つめは先日の鹿島戦。
改めて書くまでもありませんが、中村のフリーキックがゴールラインを割ったように見えるも、ノーゴールの判定。
目の前にいたドウグラスの抗議も実らず、判定は覆りませんでした。
前の2試合でジャッジに泣かされていたところがあったので、多くの清水サポーターは神経質になっていたと思います。
そのさなか、しかも開始早々の出来事でしたので、サポーターだけでなく選手たちにも大きな影響を与えただろうと思います。
こちらは今の時点で試合後の審判団の見解は不明ですが、「微妙なジャッジ」というレベルではないので、おそらくこちらも松本戦と同じ形になったのだろうと思われます。
最終的なジャッジは主審が下すとしても、レフェリング自体は第4の審判も含めた4人で行うもの。
誰か一人が責任を負うものではないと思いますが、この3試合の主審がいずれも日本サッカーを代表する方々ということからも、レフェリングの難しさを考えさせられます。
審判のレベル云々が話題になっているのが散見されますが、日本で実績のあるこの3人が笛を吹いて起こったことなので、誰が吹いても同じようなことは起こるのだろうと思います。
日本の審判のレベルが云々の話も同様で、同じ人間がやることである以上、そこまで変わるものかと思っています。
レフェリーの方々がその技術の向上のために日々研修やトレーニングを重ねている前提で話を進めます。
サッカーの進化に伴ってプレースピードがどんどん上がっている中、やはりそれに対応する体制を整える必要があるだろうと思います。
具体的には、次の3つが考えられます。
一つめは、ゴール横にゴール判定に関する審判を配置する、即ち審判員の増員です。
課題は、J3まで開催されている中で審判員の確保が難しくなるということでしょうか。
ただ、既に数年前からJFAは検討プロジェクトを立ち上げており、カップ戦などで試行もされています。
審判団6人のコミュニケーションが難しいという課題もあるようですが、これが一番現実的なように思います。
二つめは、昨季のワールドカップで話題となったVAR(ビデオアシスタントレフェリー)。
こちらは審判員の確保に加え、設備面の課題も発生します。
とはいえ、以前にJFAの小川審判委員長は雑誌のインタビューにて「経費面が解決すれば導入した方がいい」という趣旨の発言をしており、将来的な導入の可能性はゼロではないと思います。
三つめは、GLT(ゴールラインテクノロジー)。
VARよりも早くから欧州で採用され、ワールドカップでも日本の失点シーンで「活躍」しました。
VAR以上に明確に判定できるので、例えば今回の鹿島戦のような案件は全て解決されるでしょう。
ただ、この装置が生かされるシーンはおそらく数試合に1回。
ゴール判定は試合の結果を左右する重要なものであるとしても、費用対効果の議論は出てくるでしょう。
誤審の防止は、審判団を守るだけではなく、全力でプレーする選手たちを守ることにもなります。
ジャッジに対する信頼が高まれば、選手たちもプレーに集中できるでしょう。
サポーターにとっても、判定に囚われずにサッカーを楽しむことにつながるでしょう。
最後に、ある競歩選手がテレビ番組で話していたことが印象的だったので紹介しておきます。
「審判が全員のフォームを全てチェックするのは無理」
「もしも競歩にビデオ判定が導入され、一人一人を細かくチェックされたら、全員が失格になる」
「数時間にも及ぶ過酷なレースの中で、いかに審判から目立たないようにするかも重要なスキル」
この選手は、ルール違反をよしとしているのではありません。
審判との駆け引きもまた、競技の特性の一つなのだということです。
サッカーにおけるゴール判定と並べて語ることはできませんが、ジャッジもまたサッカーの一部だという意識は大切にしたいと思います。
『日本も導入間近? JFA審判委員長に聞く「VARでサッカーはこうなる」』(Sportiva 2018/11/19)
『JFA審判委員長が語る「VAR導入が与えるジャッジやプレーへの影響」』(Sportiva 2018/11/20)
『鳥栖戦、河井のPK判定のその後』(エスパルスキー 2018/06/12)
にほんブログ村 にほんブログ村
↑↑↑↑ ↑↑↑↑
その他の清水エスパルス・サッカーブログを読むならこちらから。
『幻と現実 〜 J1第10節 鹿島戦@カシマ 参戦後記』(エスパルスキー 2019/05/05)《779pv》
『シカ・トラ・ウマ』(エスパルスキー 2019/05/02)《853pv》
『期待と責任 〜 北川航也』(エスパルスキー 2019/04/30)《1012pv》
親愛なるブロガーさんたち
↓↓↓↓
『独眼・オレンジ親父』(なりき)
『一丁目』(さかた)
『☆「S」の鼓動☆』(あらた)
『いつもオレンジ気分で(改)』(関西エスパ)
『青と緑とオレンジの。。』(ゆっちゃん)
ぼちぼちつぶやいています。→ https://twitter.com/macotobatten
関連:清水エスパルス、
at 23:03, macotobatten, Jリーグ
comments(0), trackbacks(0), - -